サル痘の発生状況(その7)

令和4年6月30日

サル痘を風土病としない複数国での発生

(ポイント)
●世界保健機構(WHO)は、6月27日、本年1月以降、サル痘症例をこれまでに報告していない国・地域を含む50か国・地域から、計3,413件の感染症例が確認されている旨発表しました。WHOでは更なる調査を進めています。
また、ブルガリア、クロアチア、コロンビア、台湾、ペルーの保健当局より、感染症例が確認された旨発表されています。 
●現在有効な予防法としては、症状のある者やサル痘を有する可能性のあるげっ歯類等のほ乳類との接触を避け、石けんやアルコールベースの消毒剤を使用した手指衛生を行うこと等が推奨されています。
●WHOまたは各国保健当局によってサル痘ウイルスが確認されている55か国・地域(ベナン、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカ、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、メキシコ、米国、ベネズエラ、レバノン、モロッコ、ア首連、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、ラトビア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、豪州、韓国、シンガポール、ブルガリア、クロアチア、コロンビア、台湾、ペルー)に渡航される方は、特に感染予防にご留意ください。なお、それ以外の国・地域に渡航される方についても、今後渡航先において感染が確認される可能性があるところ、感染予防にご留意願います。
●なお、WHOは、6月23日、現在のサル痘の感染拡大が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に該当するか評価するため、緊急委員会を開催しました。同委員会では、専門家から事務局長に対し、現時点ではPHEICに当たらないとする助言がなされ、25日、事務局長は、専門家の意見を踏まえ、状況を注視する旨の声明を発表しました。
 
○6月27日付WHOによる発表(英文)
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2022-DON396
○6月25日付けWHO緊急委員会ステートメント
https://www.who.int/news/item/25-06-2022-meeting-of-the-international-health-regulations-(2005)-emergency-committee--regarding-the-multi-country-monkeypox-outbreak
○6月25日付けWHO緊急委員会に関する事務局長ステートメント
https://www.who.int/news-room/speeches/item/who-director-general-s-statement-on-the-report-of-the-meeting-of-the-international-health-regulations-(2005)-emergency-committee--regarding-the-multi-country-monkeypox-outbreak
 
(本文)
1 サル痘の発生状況
 世界保健機構(WHO)は、6月27日、本年1月以降、サル痘症例をこれまでに報告していない国・地域を含む50か国・地域から、計3,413件のサル痘ウイルスへの感染症例が確認されている旨発表しました。うち、ナイジェリアから死亡者が1名報告されています。現在ヨーロッパの国々から最も多くの症例が報告されており、WHOでは更なる調査を進めています。
また、ブルガリア、クロアチア、コロンビア、台湾、ペルーの保健当局より、感染症例が確認された旨発表されています。 
 
2 サル痘について
 (1)概要
サル痘はリスなどのげっ歯類が自然宿主として考えられ、天然痘同様の症状を伴う急性発疹性疾患です。従来、アフリカに発生する風土病であり、2022年1月以降、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ガーナ、ナイジェリアにおいて症例が報告されています。
(2)症状
潜伏期間は5~21日(通常は6~13日)、致死率は数%~10%と報告されています。初期症状は、発熱、悪寒、背中の痛み、筋肉痛、リンパ節の腫れ等であり、発熱後1~3日で特徴的な発疹が顔や四肢に現れ、口の中や性器、目にも発疹が現れることがあります。臨床的には天然痘と区別が困難です。
(3)予防法
サル痘の流行地では以下のような感染予防対策を心がけ、感染が疑われる場合には、直ちに医師の診察を受けてください。
●症状のある人の飛沫・体液等との接触を避ける。
●石けんと水、またはアルコールベースの消毒剤を使用した手指衛生を行う。有症状者が使用した服、寝具、タオル、食器等に触れる際は特に手指衛生に気をつける。
●サル痘を保有する可能性のあるげっ歯類等のほ乳類(死体を含む。)との接触を避け、野生の狩猟肉(ブッシュミート)を食べたり扱ったりすることを控える。
●イベント等、大勢の集まりに参加する場合は、人と適度な距離を取ること。
(4)治療
  対症療法
 
(参考)
○厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.html
 
○厚生労働省検疫所
https://www.forth.go.jp/news/20220521_00001.html
 
○国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html