北キブ州におけるエボラ出血熱の発生

令和4年8月24日

新たな症例(8月15日死亡の46歳女性1例)の発表

(ポイント)
●8月22日、コンゴ民主共和国保健省は、北キブ州ベニ(Beni)において、エボラ出血熱の新たな症例が確認された旨発表しました。

●エボラ出血熱は致死率が高い極めて危険な感染症で、主として感染者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)に触れることにより感染します。感染者が発生している地域には近づかないようにし、感染者又は感染の疑いがある人との接触は避けてください。

(本文)
1 コンゴ民主共和国北キブ州におけるエボラ出血熱の発生
(1)8月22日、同国保健省は、2021年12月16日にエボラ出血熱の終息が宣言された北キブ州ベニにおいて、エボラ出血熱の新たな症例(8月15日死亡の46歳女性1例)が確認された旨発表しました。死亡した女性はベニ総合病院で別の病気のために治療中でしたが、その後エボラ出血熱の症状を発症しました。
(2)国立生物医学研究所のベニとゴマの両支部が、この患者から採取した検体からエボラウイルスを確定し、解析した結果、今回の症例は2018年から2020年にかけて北キブ州とイツリ州に発生した大流行と遺伝子的に関連があると判明しました。
(3)北キブ州保健当局は、コンゴ民主共和国保健省及び世界保健機関(WHO)の支援を受けて、対応に当たっており、感染拡大を抑えるために接触者等を対象に間もなくワクチン接種が開始される予定です。

○8月23日付WHOによる発表(英文)
https://www.afro.who.int/countries/democratic-republic-of-congo/news/democratic-republic-congo-declares-ebola-resurgence-north-kivu

2 エボラ出血熱について
 エボラ出血熱は、エボラウイルスが引き起こす、致死率が高い極めて危険な感染症です。患者の血液、分泌物、排泄物などに直接触れた際、皮膚の傷口などからウイルスが侵入することで感染します。ヒトからヒトへの感染は、家族や医療従事者による患者の看護や葬儀の際の遺体への接触を通じて起きることが報告されています。
 エボラ出血熱に対しては、WHOの承認を受けたワクチンがワクチン提供に関する国際調整グループ(ICG)により備蓄されており、早期に治療を受けることで生存率が上がることが期待されます。潜伏期間は2日から21日(通常は7日程度)で、発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・食欲不振などに始まり、嘔吐・下痢・腹痛などの症状があります。更に悪化すると、皮膚や口腔・鼻腔・消化管など全身に出血傾向がみられ、死に至ります。
アルコール消毒や石けんなどを使用した十分な手洗いを行うとともに、エボラ出血熱の患者(疑い含む)・遺体・血液・嘔吐物・体液や動物に直接触れないようにすることが重要です。
 エボラ出血熱に感染しないよう、以上を参考に、感染者が発生している地域には絶対に近付かないようにし、感染者又は感染の疑いがある人との接触は避け、野生動物の肉(bush meatやジビエと称されるもの)を食さないなど、エボラ出血熱の感染予防を心掛けてください。

(参考)
○厚生労働省検疫所
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name48.html
○国立感染症研究所:「エボラ出血熱とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html