北キブ州におけるエボラ出血熱(第15次流行)の終息

令和4年9月28日

引き続き北キブ州への渡航自粛を(今後も感染者発生地域には近づかず感染者等との接触も忌避を)

●9月27日、世界保健機関(WHO)及びコンゴ民主共和国保健省は、同国北キブ州ベニ(Beni)保健区において発生していたエボラ出血熱の国内第15次流行の終息宣言を報告しました。
●WHOは、エボラ出血熱は大発生の後に散発的な症例が発生することは珍しいことではないとしており、現地保健当局はエボラ出血熱の再燃等に迅速に対応するため監視体制を継続しています。

1 コンゴ民主共和国北キブ州におけるエボラ出血熱の終息
(1)9月27日、WHOは、8月にコンゴ民主共和国北キブ州ベニ(Beni)保健区において確認されたエボラ出血熱の新規感染症例(8月15日死亡の46歳女性1例のみ)から42日間が経過したとして、エボラ出血熱の終息宣言を報告しています。今回の終息宣言は、隣国ウガンダが先週流行を宣言したエボラ出血熱を抑えるべく対応中に出されました。(なお、エボラ出血熱には6種のウイルス株が存在し、今回コンゴ民主共和国で終息したエボラ出血熱はザイール株で、先週ウガンダで発生したエボラ出血熱はスーダン株であり、両流行には関連性がありません。)
(2)今回は、流行宣言からわずか数日後に感染例の接触者等を対象に大々的にワクチンキャンペーンを開始した同国保健省の迅速な対応が功をなし、1人の確定例を出したのみで終息を迎えることができました。これは同国における最少に抑えられた災害の一つと言えます。前回の14次流行では、4人の確定例と5人の死亡例が報告されています。
(3)なお、今回の確定例1名より採取した検体からエボラウイルスを解析した結果、今般の症例は2018年から2020年にかけて北キブ州とイツリ州に発生した大流行と遺伝子的に関連があることが判明しています。エボラ出血熱は流行の後に散発的な症例が発生することは珍しいことではなく、現地保健当局は再燃等に迅速に対応するため、引き続き監視体制を継続しています。

○9月27日付WHOアフリカ支部による発表(英文)
https://www.afro.who.int/countries/democratic-republic-of-congo/news/democratic-republic-congo-ebola-outbreak-declared-over-uganda-boosts-response

2 エボラ出血熱について
 エボラ出血熱は、エボラウイルスが引き起こす、致死率が高い極めて危険な感染症です。患者の血液、分泌物、排泄物などに直接触れた際、皮膚の傷口などからウイルスが侵入することで感染します。ヒトからヒトへの感染は、家族や医療従事者による患者の看護や葬儀の際の遺体への接触を通じて起きることが報告されています。
 エボラ出血熱(※但しザイール株)に対しては、WHOの承認を受けたワクチンがワクチン提供に関する国際調整グループ(ICG)により備蓄されており、早期に治療を受けることで生存率が上がることが期待されます。潜伏期間は2日から21日(通常は7日程度)で、発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・食欲不振などに始まり、嘔吐・下痢・腹痛などの症状があります。更に悪化すると、皮膚や口腔・鼻腔・消化管など全身に出血傾向がみられ、死に至ります。
アルコール消毒や石けんなどを使用した十分な手洗いを行うとともに、エボラ出血熱の患者(疑い含む)・遺体・血液・嘔吐物・体液や動物に直接触れないようにすることが重要です。
 エボラ出血熱に感染しないよう、以上を参考に、感染者が発生している地域には絶対に近付かないようにし、感染者又は感染の疑いがある人との接触は避け、野生動物の肉(bush meatやジビエと称されるもの)を食さないなど、エボラ出血熱の感染予防を心掛けてください。

(参考)
○厚生労働省検疫所
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name48.html
○国立感染症研究所:「エボラ出血熱とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html